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kaidaten's blog~書評ノート~

日経新聞関連の時事ネタを中心に書評ノートを公開中。小説や実用書、自己啓発本についてもたまにエントリー。

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わかりやすいマーケティング戦略

内容紹介

わかりやすいマーケティング戦略 新版 (有斐閣アルマ)

わかりやすいマーケティング戦略 新版 (有斐閣アルマ)

 

 

今回紹介する「わかりやすいマーケティング戦略」は、2008年初版の少し古めの本になるが、マーケティングというものを体系的に学ぶには最適な一冊だと私は考えている。

 

読者からの評価も高い。この分野に少しでも興味のある方は、入門書として是非ご一読いただきたい。

 

本エントリーでは、この実用書の内容を抜粋するかたちで、マーケティング関連の用語についてまとめている。

 

 

 

概要

 
第一部:ターゲット市場とマーケティングミックスのフィットをいかにして作るか
 
第一章では企業が顧客にはたらきかける手段であるマーケティング・ミックスを4つのPに分類し説明し、第二章ではターゲットとして狙うべき市場の部分を探し出し選択するために、市場を何らかの軸によって分類する方法を考えている.しかし、ターゲット市場とマーケティング・ミックスのフィットはまわりの状況次第で変わる.そこで第三章ではライフサイクルの段階ごとの、第四章では市場地位別のマーケティング戦略を説明している. 
 
第二部:背後のコンテクストを大きく広げる
 
第五章では競争の概念を拡張し、競争相手が必ずしも同業他社だけではないことを示している.5つの競争要因によって自社の利益が奪われているということを.第六章では視点を企業内部に移し、思考を広げる努力を促している.多角化企業の中で行う事業をよりよく理解するために、PPMという手法を紹介している.そして第七章で、自分達が従事しているビジネスがいったい何であるのかを根本的に問い直す作業の重要性を述べている.
 

序章

計画のグレンシャムの法則=「ルーチンな仕事はノン・ルーチン(創造的)な仕事を駆逐する」

毎日忙しくてたまらないという人は、本来ならば一年後あるいは五年後までみすえて仕事の全体像を考えておくべきなのに、そういった長期的な課題を常に後回しにして結局何も考えなくなる

⇒超忙しい時にこそ、根本的に仕事のやり方を見直したり、自分たちがいったい何をやっているのかを問い直す必要がある

 

戦略

将来達成したいと思う「あるべき姿」を描き、その「あるべき姿」を達成するために、自分のもっている経営資源(能力)と、自分が適応するべき経営環境(まわりの状況)とを関連づけた地図と計画のようなもの

 

戦略的に思考するために

  • 大きく考える
  • 未来を考えようとする
  • 論理的に考える 
 

第一部 マーケティング戦略

第一章 マーケティングミックス

 

マーケティングミックス=4P

  1. プロダクト
  2. プレイス
  3. プロモーション
  4. プライス

 

①プロダクト:自分たちが何を売っているか?

 個々の製品をどのように顧客ニーズにフィットさせるか
 複数の製品をどのように組み合わせて顧客ニーズ全体に適応していくか

  • 本質サービス
  • 補助的サービス(ブランド、付属してくるおまけ等)
  • プロダクトミックス=複数の製品を組み合わせたもの

 

②プレイス:メーカーから最終ユーザーに製品が渡るまでの場所・経路

  • 商流=商取引の流れとしてどのような経路をたどるか
  • 物流=モノの輸送・保管に関してどのような経路をたどらせるか

 

チャネル政策

  • 閉鎖型チャネル政策

  中間業者を固定。

  価格の維持・プランドイメージ維持には適しているが、

  急速に大量の製品を販売するのには適していない

  • 開放型チャネル政策

  幅広く製品を流す。

  大量販売には効果がある。

  価格やブランド・イメージの維持は困難になる

 (スーパーでの安売りなどの値下げは把握できない)

 

※【画像①】 閉鎖型チャネル政策と閉鎖型チャネル政策

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物流システム=サプライチェーン・マネジメント(SCM)

 

③プロモーション:情報を顧客に伝える

  • 広告宣伝
  • 販売員活動
  • 広報活動
  • 販売促進
  • プッシュとプル
  • プッシュ:営業マンが卸会社に説得を行う、資金援助するなどして製品を顧客の側に押(プッシュ)していく戦略
  • プル:大規模な広告を行ってまず最終消費者にブランドを認知させ、彼らが小売店に行って指名買いするように仕向ける方法

 

④プライス:定価、割引率、支払い期間やローンの条件

  • その製品のコスト
  • 競争相手が設定している価格
  • 顧客の財布の具合

 

マーケティング・ミックス

 

4つのPは互いに他とフィットしている必要がある

⇒顧客のニーズと製品の本質サービスをフィットさせる→製品の本質サービスと顧客ニーズをフィットさせるように補助的サービスや流通チャネル、価格を決定する

 

第二章 ターゲット市場の選定

 

セグメンテーション(市場細分化)

 

マーケティング・ミックスに対して類似の反応を示すような同質的な市場部分に分解すること

 

 ターゲット・セグメント(ターゲット市場)

 →自分たちが主として狙っている市場セグメント

 セグメンテーションの基準 ⇒ 軸

 

※【画像②】 セグメンテーションの軸の例(消費財市場の主要セグメンテーション)

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軸の組み合わせ:3つのWを意識する

  • 地域(Where)
  • 誰(for Whom)
  • ニーズ(to meet What)

例:ユーミンの「デライト・スライト・キス」というアルバム

①日本全国の②13才から30才までの女性が持つ③切なさという気持ちを楽しみたいというニーズを満たそうとして作られた

※実際の軸の選択には経験に基づく嗅覚が必要

 

ターゲットを絞る

 セグメンテーションのチェックポイント

  • セグメント内が同質
  • セグメント間が異質
  • 操作性=そのセグメントの市場規模が予想できるかどうか、またそのセグメンテーションを行うことでマーケティング・ミックスの作り方に対して具体的な示唆が得られるか
  • セグメントの規模

 

3つのアプローチ

  1. 単一ターゲットアプローチ=単一の市場セグメントのみを対象としてマーケティング・ミックスを構築する
  2. 複数ターゲットアプローチ=対象とするセグメントを複数選び出して、それぞれにフィットした別々のマーケティング・ミックスを構築する
  3. 結合ターゲットアプローチ=いくつかのセグメントに同時に受け入れられるような「最大公約数的」なマーケティング・ミックスを構築する

 

※【画像③】 3つのアプローチのイメージ

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ターゲット・セグメントと4つのPのフィット
 
※【画像④】 セグメンテーションと4つのPのフィット

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第三章 製品ライフサイクル

 
導入期、成長期、成熟期、衰退期
 
※【画像⑤】 製品ライフサイクル

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①導入期
市場の拡大
⇒アイドマ・モデルでボトルネックを見つけ出す
  • Attention(注意)
  • Interest(関心)
  • Desire(欲望)
  • Memory(記憶)
  • Action(行動)

浸透価格政策

思い切って原価割れした価格を設定し、一気に市場を立ち上げる、一位の座に立てば大量生産によりコストを下げることが可能になり追いつくという考え方

上澄み価格政策

高めの価格設定にし、製品の開発費や初期のプロモーション費用など、マニア顧客から一番おいしい上澄みの部分を先に取ってしまおうという考え方

 

②成長期

ブランド選好の獲得=自社ブランドを選考するようにしなければならない

プレイス⇒チャネルを開いて開放型チャネルへと移行

プロモーション⇒プッシュ重視からマスコミ利用のプル重視へ

 

③成熟期

ブランド・ロイヤリティ(特定のブランドを顧客が繰り返し購入する忠実さ)を高める

⇒自分の獲得した顧客は離れにくいように、相手の顧客はできるだけ浮気させるうように

 

④衰退期

利益を出しにくい、コモディティ化を防ぐ

  1. イノベーション
  2. ポジション変更
  3. 撤退⇒残存者利益との兼ね合い
  4. 継続⇒M&Aなどの手段も

 

※【画像⑥】 製品ライフサイクルの階層別に見たマーケティング戦略の定石まとめ 

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自己成就的予言
まことしやかな噂が消費者を動かし、実際にその噂通りの結果へと誘導してしまう現象
 

第四章 市場地位別のマーケティング・ミックス

 
ターゲット市場のニーズとマーケティング・ミックスの間に適合関係(フィット)を作り上げるという作業は、製品を提供している企業が、業界の中で占めている地位にも大きく影響を受ける
  • リーダー
  • チャンレンジャー
  • フォロワー
  • ニッチャー

 

トップシェアの魅力

 ①小売店においてシェルフ・スペースを確保しやすい

 ②生産コストのメリット

  • 規模の経済性

   製品を多く作っていればいるほど、生産にかかるコストを減らすことができる

  • 経験効果

   経験を積んでいる企業の方が乏しい企業よりも、製品一個当たりを安く作れる

  「累積生産量が二倍になるごとに単位当たりのコストが一定の割合で低下する」

 

①リーダーの戦略:トップシェアと最大利潤を確保する

  • 市場全体の拡大
  • 新しいユーザーを獲得する
  • 新しい用途を見つけ出す
  • 一回当たりの使用量を増やす
  • シェア防衛・拡大
  • あらゆる市場セグメントのニーズを満たす⇒フル・ガバレッジ
  • 他社の行動への「同質化」で芽をつぶす

 

②チャレンジャーの戦略:リーダーの座を奪いに行くorリーダーとの共存

  • 攻撃的チャレンジャー:シェアを拡大し、トップの座を奪いに行く
    • 差別化
    • セミ・フルガバレジ政策、セミフルライン
    • 主戦場を決めて資源の集中投入⇒決定的なセグメントを選ぶ

 

※【画像⑦】 攻撃的チャレンジャーの戦略指針 

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  • 共生的チャレンジャー
  成熟期のシェア争いで構造不況業種を創り出さないよう配慮
  自社の顧客を奪われない・競争相手の顧客をうばわないために、
  価格をリーダー企業の顧客には高く、自社の顧客には低くする
 
③ニッチャーの戦略:生存空間の差別化
  • 他企業が参入できない小さなセグメントで圧倒的なシェアを誇る会社、それがニッチャー(例:日本ルナ
  • 高い利益率、マイペースの成長、安定した売り上げ確保
  • 狭いけれども深い製品ライン
 
④フォロワーの戦略:したたか利潤を確保する
  • リーダーやチャレンジャーにとってあまり魅力的でない市場セグメントをターゲットにする
  • マーケティング・ミックスを1ランク下げて模倣するという戦略
  • アイテム数を少なめにしてコストを下げる⇒浅いラインを作る

 

第二部 よりよい戦略的視点を求めて

 
第五章 業界の構造分析
 
5つの競争要因
 
利益ポテンシャル(儲かるか、儲からないかという、その可能性)を左右する要因が5つのグループに分かれている
 
    1. 既存業界間の対抗度

      価格競争、広告競争、新製品開発競争、顧客サービス競争

    2. 新規参入の脅威

      業界全体の生産能力の増大、市場シェアの拡大

    3. 買い手の交渉力

      値引きの要求、より良いサービスの要求

    4. 供給業者(売り手)の交渉力

      値上げの要求、品質・サービスの低下を行う

    5. 代替品の脅威
   これらの要素が大きいほど利益ポテンシャルは低くなる
 
※【画像⑧】 業界の構造分析の基本骨格

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補完財
 
補完財業界がどのようになっているのかという条件次第で、自業界の利益ポテンシャルが高まるか、低くなるかが決まってくる
 
 

第六章 全社戦略 

  • PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)
  • 多様な製品分野・事業分野をもつ多角化した大企業を経営するための手法
  • カネのない事業部には成長機会があり、カネのある事業部には成長機会がない
  • キャッシュ(現金)がどこで生み出され、どこで必要になるかということが唯一最大の関心ごとである 
  • 相対市場シェア(自社除く業界最大手との規模の比)
  • 市場成長率
  • 売上高(円の面積で表現)
 
※【画像⑨】PPM

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仮定
    1. 相対市場シェアが大きいほど、生み出されるキャッシュの量は大きい
    2. 売上増大のためにはキャッシュが必要である
      • 縦軸の上方に位置する事業ほどキャッシュを必要とする(急激な業界の成長に付いていく必要があるから)
      • 横軸を左に移動するにはキャッシュが必要
    3. 成長率は自然に低下していく

 

 ※【画像⑩】 PPM各セルのキャッシュ状況

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PPMによる最適なキャッシュフローのマネジメント
 
「金のなる木」で得られたキャッシュ+「負け犬」を売却して得たキャッシュを特定の「問題児」事業に集中的に投資し、その事業を花形製品へと育成すること
 
※【画像⑪】 PPMキャッシュフローのマネジメントのシナリオ

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各セルごとではなく、事業単位ごとの戦略指針
    1. 構築せよ(build)=シェア拡大
    2. 維持せよ(Hold)=シェア維持
    3. 収穫せよ(Harvest)=徐々に撤退して、キャッシュ創出を最大化(衰退期)
    4. 資金回収せよ(Withdraw)=できるだけ早く売却あるいは清算

 

※【画像⑫】 PPM事業単位ごとのミッション 

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PPMの二つのメリット
  • 選択的投資を奨励している
  • 長期志向の強い手法である
 

第七章 事業ドメインの定義

 

事業定義の3軸

  1. 顧客グループ
  2. 顧客ニーズ
  3. 技術

 

※【画像⑬】 事業定義の例(資生堂) 

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ドメインの定義(企業の生存領域):「接客業」なのか「旅行業」なのか?
 複数事業領域をもつ多角化大企業の全社的なドメインの定義は際立って難しい
 
最低限のチェックポイント
  • 機能的表現

    モノではなく、機能(サービス)に基づいて表現すること

  • 緻密性

    あまりにも抽象的になってはならない

  • 時間展開

    長期的な展望が描けるようにダイナミックな時間の流れが分かるように

  • 資源配分の焦点

    資源配分のメリハリがはっきりすること

  • ドメイン・コンセンサスと夢

    社外の人々にも受け入れられ、社内の人々の元気が出る

    良い例:NECの「コンピュータ&コミュニケーション」

 

終章

集中せよ

    • 戦略的思考にとって重要なスタンス
    • 時間も資源も限られている中で、メリハリをつけて何かを「切り捨て」何かに「集中する」