深夜特急3ーインド・ネパールー
書評
シリーズ第三弾
乗合バスの旅のスタート地点インドに上陸する
インドはバックパックで旅行したこともあるから個人的には一番お気に入りの一冊
奇想天外な国の文化に触れ、筆者が徐々にその考え方を改め、自分自身から自由になっていく様子が伺える
ブッダガヤの菩提樹の下で仏陀が悟りを開いたように、達観した価値観を構築しつつある筆者を見て、期待と不安が入り混じったスリリングな旅に身を投じたくなった
内容抜粋
私がまた首を振ると、やがてそれは五ルピーになり、四ルピーになり、三ルピーになった。その時になって、やっと意味がわかった。少女はその金額で自分の体を買ってくれないかと言っていたのだ。
私はスーラーの歌を聴き、美しい夕焼けを眺めながら、バナナとマンゴーだけの優雅な食事をすることになる…
私には胸に秘めたる大願などなかったが、彼らとこの歌をうたっていると、インドの田舎の、さらに奥地にいるという状況も手伝って、果ての果てまで来てしまったのだなあ、といった寂寥感に襲われたものだった。もちろん、そこにはセンチメンタルな甘さが付着しており、決して不快なものではなかった。