kaidaten's blog

kaidaten's blog~書評ノート~

日経新聞の要約や書評を中心にエントリーしてましたが、最近はざっくばらんにやってます。

働き方

書評

京セラ会長でありJAL再建の立役者となった”稲盛和夫”さんの言わずと知れた名著。

松下電器松下幸之助さんと並び、「経営の神様」と称される人物の考え方は、やはり世界のトップ層のそれに通じるものがある。

 

以前のエントリーで紹介した「自助論」でも書かれていた、真面目に謙虚に向上心を持って毎日を過ごすこと、それが大事を成し遂げる秘訣であると、本書では述べられている。

 

この本で特に印象に残ったのが、”自分に与えられた今の仕事”を好きになるべきだということ。今の仕事を好きになってしまえば、辛いことがあっても、必ず突破口が見えてくるはず。自分もそのような心持ちで仕事に臨みたいなと思う。

 

 

 

内容抜粋

 

「心の持ち方」を変える

私ももともとは、どこにでもいるような、一生懸命に根を詰めて努力することは苦手な、むらっ気のある青年だったように思います。そのような青年が、五十年という長い時間、ひたむきに働いてこられたのは、どうしてなのでしょうか。それは私が自分から仕事を好きになろうと努めたからです。「心の持ち方」を変えるだけで、自分を取り巻く世界は劇的に変わるのです。先にもお話ししたように、私はファインセラミックスの研究という仕事を最初から望んでいたわけではありません。大学では当時花形の有機化学を専攻していたのに就職活動がうまくいかず、ガイシをつくっていた、松風工業という無機化学系のメーカーにしか就職できなかったので、やむなくファインセラミックススの研究に携わったようなものです。入社した当初、私が配属されたのは総勢五〜六人しかいない研究室で、私以外の研究部員は、会社の中核事業であった、ガイシの材料である磁器の改良改善に携わっていました。新人の私だけが「将来、エレクトロニクス分野向けの高周波絶縁材料が必要になるはずだ」ということから、新しいセラミックス材料(後にファインセラミックスと私が命名する)の研究に従事することになったのです。この分野は当時、まだ未知の分野であったことから、確立された文献もなく。また貧乏な会社でもあったために、研究設備も十分に整っていませんでした。さらに指導してくれる上司や先輩がいるわけでもなく、そのような環境で「仕事を好きになれ」というほうが無理なことでした。しかし、転職することもかなわず、そんな会社で働かざるを得なくなった私は、「心の持ち方」を変えることにしました。「この仕事に打ち込もう」と自分に言い聞かせるように努めたのです。すぐに仕事が好きにならずとも、少なくとも「この仕事が嫌いだ」というネガティブな感情だけは自分の心から追い払って、目の前の仕事に全力を注いでみることを決意したのです。これは、今思えば、「仕事を好きになろう」と努めることであったのかもしれません。しかし、当時の私は、そんなこと知るよしもありません。

そうするうちに、いつもまにか私はすっかりファインセラミックスの魅力に取りつかれていきました。また、ファインセラミックスという素材が素晴らしい可能性を秘めていることも次第にわかってきました。

なかば無理に自分に強いて始めたものが、やがて自分から積極的に取り組むほど好きになり、さらには好きとか嫌いとかという次元をはるかに越えて、意義さえ感じるようになっていったのです。「天職」とは出会うものではなく、自らつくり出すものなのです。

 

「掃除一つ」でも人生は変わる

毎日毎日、少しでも「創造的な仕事をする」ことを心がけていく。たとえ、その一日の進歩はわずかでも十年もたてば、とてつもない大きな変化が生じるのです。

仕事や人生もまったく同じことです。どんなに小さなことでも積極的に取り組み、問題意識を持って、現状に工夫、改良を加えていこうという気持ちを持って取り組んだ人とそうでない人とでは、長い間には驚くほどの差が生まれるのです。それは、現状に飽きたらず、少しでもよくありたい、自分も日々向上していたいという、「思い」の差なのかもしれません。

 

本書を結ぶにあたり、仕事や人生を実り大き多きものにしてくれる、正しい「考え方」をご紹介して、結びとしたいと思います。

常に前向きで、建設的であること。

みんなと一緒に仕事をしようと考える協調性を持っていること。

明るい思いを抱いていること。

肯定的であること。

善意に満ちていること。

思いやりがあって、優しいこと。

真面目で、正直で、謙虚で、努力家であること。

利己的ではなく、強欲ではないこと。

「足るを知る」心を持っていること。

そして、感謝の心を持っていること。