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kaidaten's blog~書評ノート~

日経新聞関連の時事ネタを中心に書評ノートを公開中。小説や実用書、自己啓発本についてもたまにエントリー。

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中古住宅の売買は今後どう変わるか?〜日本経済新聞2015年12月21日〜

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中古住宅はこれからどう変わるのか?

人生におけるある程度早い段階、20代後半〜30代、多くの日本人は家庭を持ち、やがて「マイホーム」の購入を検討し始める。最近では「中古住宅」を改装した”リノベーション物件”が流行りを見せているが、日本における「中古住宅」の人気はまだまだ低い。そんな中古住宅の売買の裏側がどうなっているか、そしてこれからどう変わろうとしているのか、あなたはご存知だろうか。日経新聞でちょうど記事が組まれていたので、本エントリーでその内容を紹介する。住宅購入を検討している人は絶対に知っておくべきだ。対象の日経記事は2015年12月21日「中古住宅取引透明 開示強化、売買促す」。

 

 

 

中古住宅の取引透明化に向けて

国交省は中古住宅市場の活性化に向けて、取引の透明性を高める。物件情報をやりとりする業者向けのシステムで詳細な取引情報を開示するよう義務付け、虚偽には罰則も適用する。売却依頼を受けた業者による物件の囲い込みを防ぎ、売買を促す。中古住宅の品質への不安を拭うため専門家による住宅の診断を普及させる法改正も検討する。欧米に見劣りする中古住宅の有効利用を進めるとともに、高齢化で増え続ける空き家の流通も後押しする。

 

増える空き家 流通後押し

国交省は全国の不動産会社が物件情報を登録するシステムの開示事項を2016年1月から拡充する。宅地建物取引業法は、不動産の売却仲介を1業者のみに任せる場合、依頼者が不利な取引を強いられないよう物件情報を同システムに登録するよう義務付けている。ただシステムへの登録情報は所在地や価格に限られ物件の取引状況は分からない。そこで「公開(募集)中」「購入申し込みあり」「紹介を停止中」の表示を求める。中古住宅の売り手自身が取引の現状をネット上で確認できる仕組みも設ける。

 

制度改定の背景〜中古住宅販売の実情〜

見直しは一部業者の物件囲い込みが指摘されているためだ。売却の依頼を受けた業者が物件をシステムに登録しながら問い合わせが来ると「商談中」などと偽り取引を拒否。その間に自ら買い手を探し、売り手と買い手から仲介手数料を二重取りしているとされる国交省は摘発が難しいものの、是正策をとる必要があるとここに来て判断。開示情報を偽った業者は、運営主体の公益財団法人などが是正勧告や業者名の公開といった処分も検討する。(下図参照)

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国交省は専門家が住宅の状態を評価する住宅診断も促す。売買契約診断も促す。売買契約時に必要な「重要事項説明書」に住宅診断の項目を設ける方向で、法の改正案もしていく方針だ。高齢化で住居の相続が増えているものの、中古住宅の購入を敬遠する人々が多く、空き家問題が深刻化している。中古市場の活性化で買い手が増えれば、空き家の解消にも一役買うと国交省は期待している。

 

日本の住宅市場状態

住宅事情各国比較

さて、国内の住宅市場はどうなっているだろうか。日本の住宅市場は新築が中心で、中古住宅市場の育成が遅れている。住宅を新築すると、浴槽や冷暖房などの設備に加え、家具など新規に購入するものが多く、経済的な波及効果が大きい。そこで政府が景気テコ入れのため、住宅ローン減税や住宅ローン減税や住宅エコポイントなど住宅新築を重視した政策を打ち出してきたのが一因だ。国交省が日本と主要国について住宅取引における中古住宅の割合を調べたところ、日本は14.7%で、米国の89.3%、英国の88.0%、フランスの68.4%に比べ著しく低かった(下表参照)。

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国交省の戦略

ただ少子高齢化が進んだ結果、近年は相続した家の管理が行き届かず空き家が増えている。一部は倒壊の危険もあるなど問題が深刻化している。国交省は新築中心だった住宅政策を見直し、中古住宅市場の育成にも目配りすることで、すでにある住宅の有効活用と空き家問題への対応を進めたいと考えだ。国交省は今後10年の住宅政策の方向性を定めた住生活基本計画の改訂版を2016年3月末を目処に取りまとめる。中古市場の育成を目玉として、先に述べた住宅診断の利用促進などの政策を進めていく方針である。

 

感想

冒頭で述べたように、住宅改装技術が向上したことに伴い、怒涛の勢いでリノベーション物件が販売されている。かなり田舎の地域に住む人を除けば、マイホームの購入は慎重に検討すべきだ。総賃貸料とローンの支払い総額を比較し、賃貸か住宅購入のどちらが最適か見極める必要がある。その観点から考えると、リノベーション物件はかなりコストパフォーマンスが高い物件と言える。外観は古いが、内装は新築物件に見劣りしない。毎月のローン支払額も少なくて済む。阪神淡路大震災から20年以上経った今、最近の中古住宅は”中古”と言っても耐震構造がしっかりしているものが多い。取引制度の改正により透明度が増すことによって、これからの中古市場は国交省の狙い通り加熱していくに違いない。むしろ、これからの時代、盲目的に新築物件にこたわる者は愚かといえるだろう。空き家問題も深刻化する今、国の戦略がうまくいくことを願う。