待機児童を解消するには?〜日本経済新聞2016年3月16日社説〜
待機児童問題が深刻化
久しぶりの日経社説シリーズ。
2016年2月、保育所に入れない不満を綴った匿名ブログのエントリーが多くの反響を呼んだ。
国の子育て政策に対して、働く女性達の関心が高いことが示されたといえよう。
そこで、今回のエントリーでは、女性の活躍と育児に焦点を当てた日経新聞社説の記事内容を公開し、日本の保育サービスの現状とこれからについて考えてみる。
今こそ女性の活力が必要
少子高齢化と人口減少が続く日本で、社会の活力を維持するには、女性の力を生かすことが不可欠だ。
保育サービスの充実は、その前提条件となる。政府と自治体は待機児童の解消を求める声を真摯に受け止め、あらゆる知恵を絞って対応しなければならない。
政府側の対応は?
政府側は2013年、40万人分の保育サービスを2017年度末までに整備し、待機児童をゼロにする方針を掲げた。だが、道はまだ途上。
2015年4月時点の待機児童の数は、約2万3千人。
都市部を中心に、我が子の預け先が見つからない人は多くいる。生活難から、新たに働きに出たい人も多い。こうした切実な声の高まりに、整備が追いついていない状態だ。
まずは早急に受け皿の拡大を図る必要がある。保育サービスには保育所のほか、19人以下の子どもを預かる「小規模保育」や、保育所と幼稚園の機能を併せ持つ「認定こども園」などがある。
どんなサービスを増やすことができるのか。自治体は民間の力も生かしながら、地域の実情に応じて預け先を増やす必要がある。
保育の担い手の確保も必要
同時に、保育の担い手の確保も急がなければならない。
保育士資格を持ちながら、仕事の負担の重さなどを理由に離職してしまう人は多い。待遇を改善し、意欲を持って働き続けることができるよう後押しすべきだ。
硬直的な長時間労働の見直しなどの働き方改革と同時に、いったん離職した女性が仕事に戻りやすくなる柔軟な労働市場も必要だ。
政府は、必要な財源の確保や、仕事と子育ての両立を阻む壁の解消に全力で取り組むべきだ。
さいごに
上記のエントリーで簡単に紹介しているが、国も保育サービス充実化のために予算を割いて対策を講じている。
しかしながら、現状はどうしても厳しい。
私にも保育士の知人が何人かいるが、話を聞く限り勤務形態は「薄給激務」感が否めない。理不尽な要求も多く、離職率も高い。
子どもを預かる重要な職業にも関わらず、保育士はこれまで冷遇され過ぎてきたのかもしれない。これからの待遇改善は必須だ。
一方で、2016年現在、保育士資格はかなり取得しやすくなっている。幼稚園などでの実務経験があれば、講習に通うことで試験なしで資格を取得できる制度も存在する。
保育士数を底上げすることを目的とした政策は確かに進んでいる。現状の政策が数年後に評価される状況になっていることを願う。