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kaidaten's blog~書評ノート~

日経新聞の要約や書評を中心にエントリーしてましたが、最近はざっくばらんにやってます。

痛税感を緩和する?軽減税率の全まとめ

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軽減税率は何のために導入されるのか?

2017年4月に消費税率が10%に引き上げられる。国が社会保障を目的に踏み切った政策だ。

 

それと同時に導入されるのが「軽減税率」。対象を「食料品」に限って消費税を減税する制度のことを指す。

 

しかしながら、何のためにこの「軽減税率」が導入されるのか?そもそもなぜ「食料品」に限られるのか?分からない人も多いのではないだろうか。

 

そこで、本エントリーでは、「軽減税率」導入の背景から、その制度内容を解説してみようと思う。

 

 

 

「軽減税率」は低所得者のための配慮。キーワードは「痛税感」緩和

 2014年4月に消費税率が8%に引き上げられた際、個人消費が想定以上に冷え込んだ。アベノミクスに大きな誤算を招いたのは消費税増税だ。

 

今回、消費税率が10%に引き上げられることで、個人消費冷え込みの再来が予想される。

 

この対策として、与党「公明党」を中心に提言されてきたのが「軽減税率」の導入だ。一部の品目に関して、消費税率を下げる(8%のままにする)ことで、「痛税感」を和らげる狙いだ。

 

「痛税感」とは、その名の通り、税金に対する”負担感”のこと。税率が上がる直後に「痛税感」は高まり、対象の税が”消費税”の場合、”負担感”から個人消費が著しく減少する。

 

「軽減税率」導入、つまり消費税の一部減税は、この「痛税感」を和らげる。買い物のたびに「痛税感」の緩和を実感でき、消費意欲の冷え込みによる景気悪化を防ぐ効果が見込まれる。

 

「軽減税率」の対象品目が”食料品”である理由

ではなぜ「軽減税率」の対象品目は”食料品”なのか?

 

消費税増税により、最も「痛税感」を感じるのは”低所得世帯”。一般的に、所得が減るほど、可処分所得に占める消費税負担額が上昇していくからだ。低所得世帯ほど負担感が重くなるこの現象を「逆進性」という。

 

そして、この低所得者世帯ほど、家計に占める”食費”の割合が高い

 

つまり、「軽減税率」の導入対象を”食料品”にすることで、低所得世帯の「軽減率」を高めることができる。消費税増税のダメージである「逆進性」を補完するには、品目を”食料品”に設定することが最適ということだ。

 

もちろん、高所得者層にも恩恵はいくが、その分、個人消費国内総生産を押し上げ、税率引き上げによる景気悪化を防ぐ効果があり、税増収にも繋がる。

 

 「軽減税率」は世界では当たり前の制度

世界に目を向けて見ると、「軽減税率」の導入は当たり前のレベルだ。

 

「軽減税率」は世界で消費税がある162ヶ国のうち125ヶ国で導入。特に欧州では、EU加盟全28ヶ国が導入している。

 

買い物のたびに負担軽減の実感が得られ、申請などの手続きがいらないといった利点があり、国際標準の制度として定着している。

 

さいごに

以上、「軽減税率」のお話でした。

 

政治なんて誰がやっても変わらない。そう考えている人も多いかもしれない。

 

大きな間違いだ。

 

政党ごとに実施する政策は大きく異なる。仮に現在が民主党政権だった場合、この形式での「軽減税率」導入はまずありえなかっただろう。

 

我々は真剣に政治の代表者を選ぶ必要がある。