しょぼい喫茶店という謎の喫茶店がとても興味深い
就活に失敗した大学生が開業した「しょぼい喫茶店」
最近、「しょぼい喫茶店」という一風変わった喫茶店があることを知った。少し前に「しょぼい起業で生きていく」というこれまた変わった起業方法について書かれた本を読んだのだけど、これに感化され、実際に喫茶店を開業した人物がいた。その名を”えもいてんちょう”という。
この度、えもいてんちょう著の「しょぼい喫茶店の本」が発売されるということで、「久しぶりに本買ってみようかなー」と思っていた矢先、Amazonの欲しいものリストからのプレゼントが!ありがとうマコPさん!
「しょぼい喫茶店の本」を読んだ感想
割とヘビーな内容も盛り込まれているんだけど、それはそれでおもしろかった。等身大の若者の物語という感じ。
絶望的にサラリーマン耐性のないえもいてんちょうの生い立ち部分を読んでいて、ふと、こういう性質って大なり小なりみんな持ち合わせているんもんだよなーと感じた。
本の中では、しばしば「生き辛さ」って表現されるんだけど、この生き辛さが学生時代の私にもたしかにあった。社会人になってやることも増えていくにつれて、そういう感覚は自然と薄れていったけどね。学生って時間あるから色々と考えてしまうもの。
えもいてんちょうは、世間のみんながなんとなく見て見ぬ振りしてやり過ごしていくところにもろにぶつかってしまった不器用な青年だ。
彼は人の目を気にしすぎてダークな方向に傾きがちだけど、実はとても優秀な人間。紆余曲折ありながらも自分に合った生き方を模索し、最終的にしょぼい起業理論と出会う。「ネットで偶然見つけた!」みたないな書き方されてるけど、これは必然。アンテナを張っていたからこそ情報は有効に活用することができるのだ。事実、彼にはものすごい文才がある。ライターを雇わずにこの本を書いているのならばマジで脱帽。うまい上に読みやすい文章。秀逸。もっと自信持っていいのになー、えもいてんちょう。
しょぼい起業は、初期・ラニンニングコストを極限まで抑えて始める起業のことで、店舗経営ならば家賃の安い居抜き物件がマスト。しょぼい喫茶店はこれにならって新井薬師のテナントビル3階の部屋を借りて開店する。SNSで開店までの経緯を発信することで共感を集め、Amazonの欲しいものリストや小規模クラウドファウンディングのPolcaを通してオーディエンスから金銭的な支援も受けられている。SNS上の影響力はオープン後の集客にも反映され、店を開ければ常にお客さんが来る状態がしばらく続いたそうだ。
客が遠のいて苦戦する時期もあったようだけど、徐々にSNS外の集客も出てきて、みんなのコミュニティー空間を提供するすばらしい店舗に成長しているみたい。
ちなみに、えもいてんちょうと、店員「おりんさん」はしょぼい喫茶店をきっかけに出会い、結婚する。こんなことってあるんだなーインターネットすごいなーとなんかしみじみ思った。
生き方は今後も多様化していく。たまたまマイノリティー側になってもなんとか生きていくことができる。
”生き辛さ”を感じて思いつめている人に勧めたい一冊でした。