電脳コイル今更見たけど面白すぎる
無駄にクオリティ高いアニメ「電脳コイル」
ここ数年、Amazonプライムビデオを視聴しまくっている。他の見放題サービスと比べて引けを取らない、というかぶっちぎり豪華なラインナップで、準新作映画が軒並み視聴可能な感じ。映画だけではなく、過去の人気テレビ番組も揃っていて、その中でも最近個人的にヒットしたのが「電脳コイル」。
10年以上前に放送されていたアニメであるにも関わらず、全くそのギャップを感じさせない作り込まれた世界観。ガラケー全盛期の中で、スマホ的機能を備え尚且つその先を行くガジェットを現代でも違和感ないレベルで描いた構想力は本当にすごい。
作品設定のクオリティ=オリジナリティだと私は思うんだけど、優れた作品ほど「現実は小説より奇なり」っていうのをフィクションの中で表現している。めちゃくちゃ矛盾すること言ってるんだけど、現実社会でいろんな経緯を経た結果、当初の想定とは全然違った感じで体現されているものって色々あるじゃない?そういう感じのものを作品に入れ込んでいる。
これって、その世界に入り込んでいろんな現象をシミュレートした結果生まれるものではないだろうか。以前、カズオイシグロの「私を離さないで」を読んだときにも同じことを感じた。電脳コイルには物語の節々でこれがある。
些細なものなんだけど、例えば、電脳空間のバグを駆逐する「サッチー」なるフォーマットソフト。行政が導入したソフトウェアで、額のイラストは郵政省のキャラクターらしい。
近未来のSF作品によく出てくるやっかいなソフトウェアってもっとありきたりなものがあると思うんだけど、このフォルムに腹から追跡型のボールを放出するへんてこな機能、たぶんこの制作チームでなければ生まれてこなかったはず。
難しい設定であるにもかかわらず人気
電脳コイルは一見ほんわかしてるように見えて、実はかなり独特な世界観で構築されている作品。絵のタッチとは対照的にちびっこ達にはけっこう難しい内容だと思うんだけど、本編には用語の解説とか環境に関する詳しい説明が基本的にない。だから物語のクライマックスが近くなるまで視聴者は本当の意味での全体感が掴めない。当時リアルタイムで途中から見た人の中には、設定が難すぎて置いてけぼりにされた人も多かったんじゃないだろうか。
で、電脳コイルに関しては決して私一人が熱狂しているわけではなくて、他の人のレビューも軒並み高評価。全然知らなかったけど、この監督って割とすごい人らしいね。
最終回を見終わった後、なんとなく切ない気持ちになった。もうこの続きを見ることができないのか...と感傷に近い気持ちに至ったのは自分でも驚きだった。設定はもとよりストーリーの精度も高かったということにようやく気づいた。
大人になるにつれて物語に感情を揺さぶられることは少なくなっていく。そんな中で思わず出会って見入ってしまったアニメ「電脳コイル」に感謝。