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日経新聞の要約や書評を中心にエントリーしてましたが、最近はざっくばらんにやってます。

超簡単 お金の運用術

書評

超簡単 お金の運用術 (朝日新書)

超簡単 お金の運用術 (朝日新書)

 

 

投資用の入門書として購入。

 

NISAやアベノミクス等の近年の最新情報も踏まえて、現代における投資戦術について初心者にも分かるよう、非常に簡潔に書かれている。

 

 

 

内容抜粋

 

一生を経済的に豊かに過ごすために重要な要素は、ほとんどの場合どこで何をして働いていて、幾ら稼いているかだ。

 

個人向け国債(変動10年型)が、銀行よりも安全で、国債暴落に強いということの意味をお分かり頂けただろうか。この商品は、銀行・証券会社のいずれでも買えるが、募集が三ヶ月に一度であることと、窓口で素直に売ってくれない場合があることに注意が必要だ。

 

読者は「投資信託は、決して銀行で買わない」と、決めておいて結構だと思う。ついでに「個人年金保険」などと称することが多い変動保険も買わないと決めるといいだろう。銀行で購入してもいい商品は、ある程度の金額までの決済用の普通預金を除くと、せいぜい個人向け国債だけだ。この点、ネット証券の場合は、取引口座を開いて、売り買いする対象を自分で分かってさえいれば簡単だ。売買手数料や為替レートの実質的な手数料も、ほとんどの場合対面型の証券会社よりも大幅に安い。

 

改善できないことについては、諦めてもいい。そう思って生きると人生は楽になるし、改善できることに集中する結果、パフォーマンスが向上することを期待できる。

 

お金の使い方を身につけるための方法の一つとしては、現金主義をお勧めする。現金で支払いを済ませる方が、支出に対する実感を持つことができる。銀行のATMで、細々と現金を下ろして使うと、ついつい過剰支出になりがちだ。たとえば、月に二回、予定額をまとめて下ろしてこれを計画的に使う。前半のお金が半月保てば、まあまあベストだと分かるし、早くなくなった場合は、月の後半の生活を諦めるといい。入ってくるお金と、自分の支出のバランスを、自然に取れるようになると安心だ。

 

結論を言うと、外国為替のリスクや商品取引のリスクは、賭けが当たった人の儲けが外れた人が支払うような「ゼロサムゲーム的なリスク」なので、長期的なリスクを負担することを通じて、リスクに見合う追加的な収益を得ようとする長期投資の対象には不適当だ。

外国為替市場は「世界最大のカジノ」だと理解し、投機だと割り切って楽しみとして参加すべきものだ。

 

一般には、若い人は金融資産の中で大きな比率でリスクを取っていいように言われることがあるが、その正しい理由は「長期投資だとリスクが縮小するから」ではなくて、「人的資本を考えると、金融資産の運用で取るリスクが相対的に小さいから」なのだ。

若くて健康な人の人的資本の価値は大きくて割合安定しているが、高齢になると、今後稼ぐことができる時間が縮むし、健康の問題から稼ぎが不安定になるリスクもあって、人的資本の価値は落ちる。その代わり、平均的に見て、高齢者の方が若者よりも大きな金融資産を持っている。

 

新しくスタートする「NISA」

通称は「NISA(ニーサ)」と決まったが、「日本版ISA」などとも呼ばれる制度が二〇一四年一月からスタートする予定だ。英国のISAを参考にして作られたという制度で、一人が年間100万円まで行う投資の収益に対して五年間非課税とする、少額投資非課税制度だ。

つまり、五年目からは、一人最大で500万円非課税で運用できる計算だ。

現在のNISAの制度設計では、売却してしまった資金を再投資して再び税制優遇の対象にすることができない。したがって、長期間持ち続けることが可能なものを投資対象に選ぶことが望ましい。

 

100万円では、多数の銘柄に分散投資することが難しいし、個別の株式の場合、業績見通しの下方修正などで、五年間に途中売却したくなる機会が訪れる可能性が小さくない。

 

NISAに限らないが、投資家から見て手数料は「確実な(リスクゼロの)マイナス・リターンだ」。NISAの場合は、長期で持ち続ける投資を行うべきなので、投資信託でいうと信託報酬に該当する継続的に掛かる手数料の大きな運用商品ははっきり損だ。

 

NISAには幅広く分散投資されたインデックス・ファンドのような資産を置いて、長期保有し、個別株はNISA以外の口座で投資するといった組み合わせがいいと思う。

 

 確定拠出年金は、加入者自身が資産運用の対象を選ぶ年金制度だ。

給与の中から、「税金を引かれる前に」積み立てることができ、運用期間中の収益に税金が掛からない。

運用益非課税のメリットが生きる期待収益率の高いもの

今後、どう見ても公的年金の実質価値は次第に小さくなっていく方向だ。自分の老後は自分で面倒を見る覚悟が必要だ。確定拠出年金では、今、自分の資産が、いくらあってどのように運用されているのかが常に分かることは、透明性の観点でも、受給権の保護の観点でも好ましいことだ。

 

アベノミクス」の経済政策は今どのあたりか

安倍政権の経済政策である「アベノミクス」とは、

(1)「インフレ目標+金融緩和」で期待実質金利を引き下げて、

(2)為替市場・資産市場に働きかけて、円安と資産価格高を実現し、

(3)上記を通じて投資と消費を喚起して経済を活性化し、需要を追加して、

(4)最終的には物価が上昇し、マイルドなインフレ期待が定着する。、

という波及経路を期待する政策だ。

2013年現在、(2)がある程度実現して、(3)がそろそろ視野に入りつつあるが(4)まではまだかなり距離がある。

 

バブルは「長期間維持できないような、資産価格の大規模な高騰現象を指す」と理解しておくのがより正確だ。

 

「当面デフレ、次はインフレも」という認識ならば、良さそうな戦略は、①借金はしない(または返済する)②不動産は買わない、③預金は短期化する、④株を少しずつ買い始めよう、といった組み合わせが無難だろう。

 

実は、マクロ経済の動きを読んで有利な運用を行うことが簡単にできるというような言い方をする人は、マーケットを知らないのだ。

 

投資家にとっては、金融政策と実質金利の方向性をよく見ておくことが大切だ。

 

金融政策は景気や物価に効果を表すまでには、平均一年くらいの「タイム・ラグ」(時間のズレ)があるといわれている。政策に効果があるとしても、本格的な物価上昇には時間がかかる。預金の移し替えや、住宅ローンの固定金利への切り替えなどを判断するのは、じっくり様子を見てからでいい。急に5%や10%のインフレになるわけではなかろう。インフレ対策を語る運用商品のセールスに簡単には乗らないことが大切だ。

将来に対する不安を喚起しておいて、それに対する解決策があるかのようにモノを売るというのは、特に利幅の大きい怪しいものを売る時には、よく使われるセールスのテクニックだ。

 

運用においては、過去のデータを直接将来に当てはめることが間違いになる場合が多い。

 

外貨預金は明らかにダメな商品

外貨預金は「最悪の商品ではないかもしれないが、ダメなことがはっきりしている商品だ」。はっきりダメな理由は、外貨預金を組む際の為替手数料が高く、金利が銀行間の金利よりも不利な場合が多いからだ。

 

賃貸の方が得か?

住宅・マンションを買うか買わないかという段になると、「賃貸は家賃を払っても自分のものにならないけれども、買ってしまえばローンが終わると自分のものになる」という不十分な二分法を根拠に購入に傾く人が少なくないが、ここで思考停止しては、脳を持って生きていいる意味がない。自分がいくら払うのか、将来の物件価値はいくらくらいあるのかといった損得を考えてみるべきだ。

 

マンション投資には近づかないのが無難

世の中には当然プロがいる。プロの不動産屋が長く持とうとしない物件を豪華なチラシを作って、営業マンを大勢動員してセールスして売るわけだから、かなり大きな中抜きがあると疑ってみた方がいい。

基本的に売り手が熱心に売っているものというのは買ってメリットがないことが多い。

 

いざという時に頼るべき親も親戚もいない若い貧乏夫婦に子どもができてしまったような場合、残された妻子が次の生活を軌道に乗せるまでには、それなりの備えが要る。「こうした時にだけ」生命保険は必要であり、ありがたい仕組みだ。それ以外の保険は、繰り返しになるが、医療保険なども含めて、基本的に不要だ。上記に該当するような場合、問題が10年かせいぜい20年、残される家族の数✖️1000万円くらいの死亡保障の定期保険に加入しよう。

 

民間の医療保険は不要だ

第一に、健康保険に入っていれば、保険診療の医療費自己負担が高額になる場合、健康保険にある「高額療養費制度」を使うと、毎月一定の額(所得によって異なるが最高ランクでも約9万円)を超えた額の医療費は、後から還付されるようになっている。多くの人が別途保険に入る必要がないことが分かるはずだ。

 

「投資力」を鍛えるには?

第一歩としては、株価と為替レートと長期金利を毎日見る癖をつけるといい。