自助論
書評
- 作者: サミュエルスマイルズ,Samuel Smiles,竹内均
- 出版社/メーカー: 三笠書房
- 発売日: 2002/03/21
- メディア: 文庫
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世界的ベストセラーの自己啓発本
今や、日本サッカー界を牽引する本田圭佑選手の愛読書としても有名
克己心を持ち、地道に努力していくことの重要性について繰り返し述べられている。
印象に残ったのが、「読書による知識の獲得」に対する筆者の考え方。読書を通じて知識の獲得だけしていても、知恵や理解力は得られず、単なる時間の浪費にすぎない、と断言している。
自分自身、正直ぎくっとする内容だった。知識を踏まえて具体的な行動を起こし、経験を積み重ねてこそ、道は開けるのだということを忘れずにいたい。
友人との付き合い方についても「よき友と交われ、さもなくば誰とも交わるな。」等、ドライだが非常に秀逸な人生論が本書では展開されている。
自戒の書として定期的に読み返することにする。
そして何より「知識をきっかけとした実践」を日々心掛けていきたい。
内容抜粋
心に浮かんだ考えや見聞きした事実は、必ず書き留めておく習慣をつけるべきだ。
善と結びつかない権力は、それがどれほど強力なものでも国家の致命傷となる. また、善と結び付かない知識は、単なる悪魔の化身となりはててしまうのだということを。
あるフランスの大臣は、事務処理が迅速なことで有名だった。だが彼は一方で、歓楽街へ三日にあけずひっきりなしに顔を出すことでも知られていた。「両方ともうまくやってのけられるのはなぜか」とたずねられて、彼は答えた。「今日なすべきことを明日に延ばすな、という教えを忠実に守っているだけのことさ。」時間の浪費は心に雑草をはびこらせる。
自分自身すら味方にできない人間に、誰があえて手を差し伸べたりするだろうか?
真の栄光は黙々と克己に努めてこそ与えられる。いかなる征服者もそれなくしてはただの奴隷と何一つ変わらない
小銭に気をくばれば大金はおのずと貯まる
金持ちが必ずしも寛大でないのと同様、立派な図書館があり、それを自由に利用できるからといって、それで学識が高まるわけではない。立派な施設の有無にかかわらず、先達と同じように注意深くものごとを観察し、ねばり強く努力していく以外に、知恵と理解力を獲得する道はない。単なる知識の所有は、知恵や理解力の体得とはまったく別物だ。知恵や理解力は、読書よりもはるかに高度な訓練を通じてのみ得られる。一方、読書から知恵を吸収するのは、他人の思想をうのみにするようなもので、自分の考えを積極的に発展させようとする姿勢とは大違いだ。つまり、いくら万巻の書物を読もうとも、それは酒をちびちび飲むような知的たしなみにすぎない。そのときは快楽に酔い心地を味わえるものの、少しも心の滋養にはならないし、人格を高める役にも立たない。読書を自己啓発の手段と思い込んでいる人は多い。だが、実際には、本を読んで時間つぶしをしているだけの話だ。この暇つぶしに何か有益な点があるとすれば、せいぜい悪事を働くゆとりをその人から奪うことくらいなものだ。
人間の行動は、あとあとまで何らかの形で他人に波及していく。これは打ち消しがたい厳粛な事実だ。どんな人間でも、われわれの生活に多少とも感化を及ぼし、知らず知らずのうちに影響を与えている。
若者はとくに朱に交われば赤くなる性質が強いからいちばん模範となる友人を選ぶべきだ。よき友と交われ、さもなくば誰とも交わるな。