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kaidaten's blog~書評ノート~

日経新聞の要約や書評を中心にエントリーしてましたが、最近はざっくばらんにやってます。

新型地方交付金について考える〜日本経済新聞8月5日〜

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「新型交付金」の見出し

8月6日の日経新聞に「16年度新型地方交付税1000億円超。看板なのに地方は不満」の見出し。

 

以前のエントリーでは、「ふるさと納税」の観点から地方財政について触れてみたが、今回は国の財政政策「新型交付金」について考える。

 

kaidaten.hatenablog.com

 

 

 

「新型地方交付金」とは

まず、第二次安倍内閣が掲げる主要な政策のキーワードとして用いられる”地方創生”について簡単に説明する。

 

地方創生とは、「国内の各地方・地域がそれぞれの特徴を活かし、自律的で持続的な社会をかたちづくり、魅力あふれる地方のあり方を築くこと」を意味し、「まち・ひと・しごと創生」を理念として掲げている。アベノミクスの中の重要分野の一つであり、新設された内閣府特命担当大臣(地方創生担当大臣)には、あの”石破茂”氏が任命された。

 

「新型交付金は、地方創生の実現へ向けた地方自治体の取り組みを後押しするため、2016年度に創設する財政支援の仕組みであり、同政策の柱とも言われている。各地自治体がまとめる総合戦略に盛り込んだ地方移住、観光振興、人材育成などの先駆的な事業に充てる。

 

「新型交付金」政策の現状

安倍首相は当初、14年度補正予算で新型交付金に1700億円を計上することを宣言したが、15月8月4日、新型交付金の規模を1000億円に下方修正する基本方針を決定した。財政事情の厳しさを理由にあげているが、地方からは「看板政策にしては小粒だ」と、担当の石破茂地方創生相らに不満の声があがっている。

 

額を積みませないのは、財源を既存の補助金交付金の見直しで捻出するためだ。石破氏が所言する内閣府は地方向けの2つの交付金を衣替えして約580億円を確保する。残りの約500億円は他省庁の予算から切り出す。地方創生以外の分野で企業や独立行政法人向けの補助金などを減らして振り向ける。1000億円超を生み出すのが「ギリギリの水準だった」という。

 

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全国の自治体は都道府県と市町村区を合わせて約1800。単純にいえば、1自治体あたり1億円にも満たない計算だ。

ここで重要なことは「新型交付金を利用する事業は、半額が地方負担となる仕組みである」ということ。大規模な施策を実施すれば財政難に陥る可能性も高い。地方からの反発が高まるのも無理はない。国からの補助金が十分に得られないことは、施策の実行にとって死活問題だ。一方で、閣僚経験者からは「財政が苦しいのは国も同じこと。財政出勤頼みの地方創生は厳しい」との声が挙がっている。

 

感想

個人的に気になったことが、新型交付金以前に、国と自治体が主導になって行う「地方創生」の在り方である。

 

バブル崩壊夕張市財政破綻に代表されるように、行政が独りよがりで画一的に実施した政策はこれまでことごとく失敗している。

 

ふるさと納税」のような、その地域の独自性を活かした財源確保の手段になればよいが、地方創生が語る先駆的な取り組みの内容(高齢者の地方移住拠点整備、観光戦略作りの組織、地方創生の人材育成など)はいまいち具体性に欠ける。

 

施策を実行するにあたり、国からの補助金の額が多いに越したことはない。しかしながら、国がやっとの思いで捻り出した補助金によって成り立つ施策が、その地域・地方の独自性が十分に含まれない画一的なものになってしまった場合、結局過去の苦い轍を踏むことになるかもしれない。

 

国・地域の行政担当者には、真摯な気持ちで地方創生に取り組んでいただきたい。