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kaidaten's blog~書評ノート~

日経新聞の要約や書評を中心にエントリーしてましたが、最近はざっくばらんにやってます。

拙速は避けたい「ゲノム編集」~日本経済新聞8月20日社説~

 

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拙速は避けたい「ゲノム編集」

日経新聞社説シリーズ。今回のエントリーは8月20日の社説「拙速は避けたいゲノム編集」を題材として考える。

 

DNAの遺伝情報を望み通りに書き換える「ゲノム編集」と呼ぶ技術が、世界の科学者の間で議論を呼んでいる。

 

安全性や生命倫理上の課題について十分な検証や合意がないまま、遺伝病の治療などに応用されかねない心配があるからだ。

 

受精卵などの遺伝情報を書き換えれば、遺伝病を治せる可能性はある。しかし現時点では検証が十分に進められておらず、子や孫の世代に望ましくない影響が及ぶ恐れも払拭しきれない。


親の希望通りの外見や能力を持たせたこども(デザイナーベビー)の誕生に応用される懸念もあるとのことだ。

 

 

 

事の発端と日本の体制

一連の議論の発端は、今年4月、中国の研究者が人間の受精卵の遺伝情報をゲノム編集で改変する事に成功したと発表したことにある。

 

拙速な応用に対する懸念が世界で広がり、米政府が「こえてはいけない一線」と科学者に自制を求める声明を出した。

 

そして、日米の遺伝子細胞治療学会は8月初め、新技術を受精卵や生殖細胞などに使うことに反対する共同声明を発表した。

 

ゲノム編集にはもちろんメリットも

ゲノム編集は生物学の基礎研究では便利な道具である。

 

米国ではエイズ患者を対象にした臨床試験が始まり発症防止に効果をあげているという。技術を全面的に否定することは賢明ではない。

 

とりあえず生殖細胞などへの応用について関係学会や研究機関が国際的なモラトリアム(一時中止)を決める必要がある。

 

感想

まるで一昔前のSF漫画に出てきそうな話である。さすがに「デザイナーベビー」という言葉にはショックを受けた。

 

画期的な科学技術には、それ相応の副作用や問題が伴うものである。

 

科学技術が急速に発展し続ける今日、我々はその恩恵を享受し、より快適な生活を送ることができている。以前であれば見殺しにしかできなかった多くの命を救うこともできるようになった。

 

しかしながら、だからこそ人間が踏み込んでよい領域はどこまでなのか?”倫理”という言葉の意味をどう定義づけ、技術を発展させていくのか、国際レベルで慎重に検討していかなくてはならない。

 

これはゲノム編集に限った話ではないと思う。