通話定額プラン値下げの潮流から携帯3社の現状を見つめる〜日本経済新聞9月17日〜
携帯3大キャリア 政府から値下げ要請
携帯大手3社(softbank、au、docomo)が、国からの要請に応じて「通話定額プランの値下げ」に踏み切るそうだ。ということで、今回のエントリーは9月17日の日経記事「携帯3社、新プラン横並び」を題材に 、通信業界を取り巻く現状について考えてみよう。
日経記事要約
docomoは、月額料金が従来より1000円安い通話定額プランに導入することを発表。5分以内の通話なら何度でも無料とのこと。au、softbankも同様のプランを導入する予定だ。3社競合の中で、新料金でも再び肩を並べる。
▪️新料金プラン
携帯3社が現在提供している通話定額プランは、月額2700円のかけ放題で横並びとなっている。docomoは従来プランより1000円引き下げた新料金プラン「カケホーダイライトプラン」を、「iPhone6s」の発売と同時に提供し始める。1回5分以内で国内なら通話相手にもかけ放題。5分を超過すると30秒あたり20円が加算される。 安い料金プランの導入は収益に直接影響する。しかしながら、端末のラインナップが似通い、通信速度・エリアにも差がなくなった今、料金で競争せざるを得ない状況に陥ってしまっている。
▪️国からの働きかけ
安倍首相は11日、スマホ通信料などの負担を軽減する方策検討を総務相に指示。これを受けて総務省は年内に携帯電話料金の引き下げ策をまとめる方針とのこと。しかしながら、実際に料金を引き下げるかは事業者の判断に委ねられるという。これを考慮し、総務省はより多くの通信事業者による競争を促進する施策を打ち出してきた。2015年5月以降の発売機種では、「SIMロック(端末を契約した携帯会社以外で使えないようする)」の解除を義務付けた。加えて「2年縛り」の改善も7月に要求。
▪️携帯各社の設備投資について
国から様々な要請を受けいる携帯業界だが、3社合計で数兆円の設備投資を実施し、結果、日本は世界有数の高速通信網を誇る。通信サービスの質は幾年か前よりも高くなっている状況下での要請。携帯3社は、国からの圧力にとまどいを隠せない様子だ。
感想
近年、携帯各社の通信品質は劇的に向上された。記事にあるように各社が数兆円規模の設備投資により通信網を強化したからだ。かつてのsoftbank(ガラケー時代)の”繋がりにくさ”は相当なものだった。そのような過去を鑑みると、携帯各社の通信事情が改善されてきたのはいいことだ。しかしながら、全国規模のスマホ普及に伴い、通話・通信料金の価格が上昇。末端の消費者に影響が出る結果となった。これを受け、国が率先して”携帯業界改革”のために動いているわけだ。正直、「SIMロック解除」や「2年縛り」の制約解除は個人的にかなり嬉しい。3社寡占の状態を改善しようとする国の働きかけも理解できる。しかし、その裏側では、国の通信インフラを担う携帯各社が、快適な通信網の整備のために莫大な設備投資をしていることを忘れてはいけない。