電力自由化に向けて各社「セット売り」導入へ〜日本経済新聞9月25日〜
電力自由化に向けて「セット売り」の潮流
以前のエントリーで取り上げた「電力自由化」。
新たな動きが日経新聞で取り上げられていた。電力自由化は2016年4月から日本国内で全面導入される。技術的な側面(発電コスト)で差別化できない分、各社がユニークなサービスを考案し、実現に向けて現在準備を進めている。
今回のエントリーでは9月25日日本経済新聞一面「JX、KDDIと提携〜電力小売り 通信とセット割〜」、4面「再生エネ買い取り義務〜送配電事業者に変更〜」をテーマに電力自由化のスタートについて考えてみよう。
(以前のエントリーはこちら↓)
日経記事要約
▪️電力自由化〜各社がセットサービスによる顧客取り込みへ向け準備〜
家庭向け電力小売りに2016年春に参入するJX日鉱日石エネルギーはKDDIと提携し、電気と通信をセットで割安に販売する。自社の給油所でガソリンも値引き販売する。電気料金は大半を発電用燃料費が占めるため差を付けにくい。2016年4月の電力小売りの全面自由化に向け、新規参入組も異業種と連携しサービスの魅力を高めようと試みている。JXは2016年1月より一般家庭向けの「ENEOSでんき」の予約を始める予定。
KDDIは約3700万件の顧客を持っており、JXはその顧客網の取り込みを狙う。通信サービスとのセット割引の幅は現在未定。また、クレジットカード事業などを手掛けるトヨタファイナンスとも連携し、約1200万人のカード会員の紹介を受ける。JXは電気の顧客に全国の給油所での値引きも実施するとのこと。
他の参入企業では東京ガスが「Tポイント」など共通ポイントを導入する。通信サービス関連ではインターネット接続業者数社と組み、割安なメニューを用意してもらう。電力小売り自由化を巡っては、大手電力が異業種連携で先行してきた。通信とのセット販売では東京電力がソフトバンク、関西電力がKDDI、中部電力がNTTドコモなどと協議を進めている。東電は静岡県地盤のTOKAIホールディングスなど地方のガス事業者との連携も検討中とのこと(下図参照 ※東洋経済オンラインより)。
▪️再生エネ買い取り義務〜送配電事業者に変更〜
経産省は、電力小売り自由化以降、再生可能エネルギー(※)の買い取り義務を大手電力から送配電事業者に移す検討に入った。
「エネルギー源として永続的に利用することができると認められるもの」として、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存する熱、バイオマスが規定されている。
電力需給などを調整する送配電事業者に買い取りを義務付けることで、再生エネルギーの導入を進める狙い。現行制度は電力会社に再生エネルギーの買い取りを義務付けている。大手電力は2020年に発電、送配電、小売りの3事業に分かれることが決まっている。経産省は大手電力の分社後も送配電事業者に買い取りを義務付ければ、再生エネルギーを安定して導入できると考えている。
感想
▪️電力自由化について
電力自由化に向けて各社がビジネスチャンスを求め、タッグを組み魅力的なサービス提供に踏み切ろうと凌ぎを削る。我が国において電力自由化を導入する意義は大きい。「電気料金の値下げ」という狭い観点でのみその是非を語ってはいけない。地震大国である日本において、電力業界に多くの業者が参入することはリスクを分散させることにも繋がる。経産省が再生可能エネルギーの導入を送配電業者に義務付けることを検討していることも評価できる。
▪️️これからの日本国民に求められているもの
今回取り上げた「電力自由化」にしても、このブログで再三取り上げている「マイナンバー」にしても、国民はこれから導入される新しいサービスの仕組みをきちんと理解しておくべきだ。現時点で、電力自由化の内容や導入時期をきちんと把握している人はかなり少ないだろう。これらの施策導入は我々国民全員に関与する話だ。自分の生活がこれからどのように変わっていくのか、”主体的に知ろう”とする意思・努力が今の日本国民に求められていると私は思う。