公共財老朽化問題の課題と解決策〜日本経済新聞9月25日〜
公共財の劣化は未知の領域
本日は「公共財の劣化」について考えてみよう。人類史上、コンクリートが普及したのはほんの最近のこと。その利便性とは裏腹に、”劣化”という未知の領域の問題に我々は現在直面している。今回は日本経済新聞9月25日「民間活用 試行錯誤続く」をテーマに公共事業ついて考える。
日経記事要約〜維持に年5.5兆円〜
全国で耐用年数を超える橋やトンネルが相次ぐ。国交省試算によると、既存のインフラの維持・管理費だけで20年後には最大年5.5兆円も必要になる可能性がある。(下図は日経記事より拝借) これは政府の公共事業予算の約6兆円に匹敵する。だからこそ「国土強靭化」を旗に公共事業費の上増しを訴える政治家もいる。
ただ、公共事業に民間のお金や競争原理をフル活用するPFI(民間資金を活用した社会資本整備)は解の一つだが試行錯誤が続く。公共事業の狙いの一つは、地場企業のビジネス機会をつくることだ。しかしPFIにうまく対応できている地元の中小建設会社は少ない。PFIを進めるほど、広域展開する域外の大企業に有利な状況が生まれてしまっていた。限られた財源で次世代に何を残すか。国際イベントの関係施設にせよ、身近な橋にせよ、問われている命題は変わらない。
京都大学 藤井聡氏の主張
一方で、京都大学工学研究科教授で内閣官房参与の藤井聡氏の主張によると、 この状況下で求められているのは「ケインズ・リスト主義」とのこと。
「ケインズ主義」とは、政府投資による内需拡大を通したデフレ脱却・景気回復を主張する(=公共事業のフロー効果を主張する)考え方。
「リスト主義」とは、交通インフラの形成を通して、経済生産性の向上と社会的統合の双方を促し、需要と供給の双方を拡大させ、経済成長を促す(=公共事業のストック効果を主張する)考え方を意味する。
以下のWEBサイトを参考にしてほしい。
【藤井聡】GDP600兆の実現と大阪再生のためには、「新自由主義」路線でなく「ケインズ・リスト」路線が不可欠です。 | 三橋貴明の「新」日本経済新聞