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kaidaten's blog~書評ノート~

日経新聞の要約や書評を中心にエントリーしてましたが、最近はざっくばらんにやってます。

地方創生・ビックデータ活用してインフラ効率化〜日本経済新聞10月1日〜

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IT ✖️ インフラ= 地方創生

以前のエントリーで「新型地方交付金」の観点から「地方創生」を論じた。地方創生という大旗を掲げている割には、現行案は具体性が乏しく、これまでの公共事業プロジェクトと差別化できていない、という結論で記事をまとめた。

今回のエントリーでは、逆に”具体的”な事例から「地方創生」について考える。10月1日の日経新聞にその”具体的な”事例が紹介されていたからだ。対象の記事は「地方創生 インフラから〜NTT・日立連携〜」。日経大手IT企業が連携し、ビッグデータを活用して観光や交通を効率化しようとするプロジェクトが進められている。 

 

kaidaten.hatenablog.com

 

日経記事要約

政府が成長戦略に据える「地方創生」を巡り、新たなビジネスチャンスを生み出す動きを広がりを見せている。通信・ITの大手「NTT」と「日立製作所」の二社が「地方創生」向けプロジェクトでタッグを組むことが決定した。

▪️NTTと日立がビックデータで提携

NTTと日立はビックデータを活用し、地方都市のインフラを効率化する事業を共同展開する。観光施設や交通機関などのビッグデータをITを駆使して分析し、外国人向けのまちづくりや行政コストの削減に繋げる狙いだ。スマホやセンサーなど、二社が得意とする技術を持ち寄り、交通、医療、災害対策まで地方自治体に必要な包括的なインフラ整備サービスを提供する考えだ。

 

 

 

▪️事業の流れ

第一弾として観光や交通・物流、エネルギー管理を軸に共同事業を進める。観光では自治体の公衆無線LANの整備やスマホ向けアプリを使ったサービス運営などを後押しする。アプリやスマホの位置情報で人の流れを分析し、旅行者に最適な観光地を紹介したり、バスや鉄道を利用したスムーズな観光ルートを設定したりできるようにする。

エネルギーでは電力需給の予測技術を駆使して、太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用拡大を検討する。医療分野で自治体が持つデータから病気予備軍を抽出し、発症する前に対策を打つことで医療費の削減に結びつけていくことも視野に入れるとのこと。

 

NTT・日立の地方創生プロジェクトに対する感想

民間企業が地方創生プロジェクトに積極的な姿勢を取っていることは非常に評価できる。国は、地方創生で国内総生産を年2兆円底上げすることを目標に掲げ、予算を捻出しようと奮起している。しかしながら、実際には「地方創生」とは名ばかりで、現状その内容には具体性が欠けており、既存の公共事業との差別化がうまく図れていない。地方自治体がその地域の個性を生かした具体的な”施策”をなかなか打ち出せずにいるのもある意味仕方がないことだ。

本来、地方創生の在り方は各自治体が知恵を絞りながら進めるべきだ。ただ、そのアイデア創出を行政側に押し付けるだけでは、施策を検討する際に視野が狭まり、結果地方に最適なサービスを提供できないことに繋がりかねない。今回のNTTと日立の例のように、競争意識の高い民間企業が先行してサービスを考案し、それを自治体が適用していくことで「地方創生」の活路が見出される部分も大いにあるはずだ。実際に、上記で紹介した大規模プロジェクトは、これまでの公共事業の予算枠では導入が難しく、それこそ「地方創生」プロジェクトの予算を使用して進めるものであろう。「地方創生」の名にふさわしい試みである。

月並みの主張で申し訳ないが、「地方創生」プロジェクトを成功させるためには、行政と民間の連携が必要不可欠だ。両者は今後、これまで以上に関係を深め、密に提携していくことが必要である。