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kaidaten's blog~書評ノート~

日経新聞の要約や書評を中心にエントリーしてましたが、最近はざっくばらんにやってます。

もはや未来の技術ではない!自動運転車の本格導入〜日本経済新聞10月7日〜

 

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市販車への導入も近い?ドライバーの負担を減らす「自動運転車」

未来の技術だと思われきた「自動運転」 が現実味を帯びてきた。トヨタを中心に、各社が自動運転車の開発を積極的に進めているという。自動ブレーキの次は自動運転。ドライバーの負担は減り、より安全な交通社会が築かれようとしている。この大きな流れについて、例のごとく日経新聞の記事を取り上げて考えてみよう。対象の記事は日本経済新聞10月7日「トヨタ、20年めど自動運転 高速道で実用化へ」。

 

 

 

日経記事要約

東京五輪に向け、トヨタが自動運転車の発売を発表

トヨタは、高速道路上で車線変更や合流、追い越しが自動でできる市販車を2020年ごろに発売すると発表した。技術的なハードルの低い高速道路を手始めに一般道用まで含めた実用化を目指すとのこと。「身体能力が衰えた高齢者、ハンディキャップのある人にも移動の自由を実現する!」吉田専務の鼻息も荒く、トヨタの技術開発は進む。

トヨタが20年を実用化のメドに置くのは、同年開催予定の東京五輪に主眼を置いているからだ。同社は1980年代から自動運転の研究を始めており、技術の蓄積は厚い。十分に達成可能な目標と言えるだろう。

 

カメラ・レーダーで周囲把握、車線変更・合流も驚くほどスムーズ

今回公開した自動運転車は、前方に据え付けた「目」となるカメラのほか、車体周囲に赤外線を発するレーザーレーダーなどを配置。周囲の状況をリアルタイムで把握する。収集したデータを人工知能が分析して、過去の走行データと照らし合わせ、合流や車線変更の可否を判断することができる(下図参照)。

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トヨタは東京都内の高速道路上で、自動運転のデモンストレーションを既に実施している。車線変更や本線への合流の際のハンドルさばきや減速・加速は驚くほどスムーズ。「オートドライブモードを開始します」。高速道路の入り口で人工知能(AI)が自動運転が可能と判断すると、運転席と助手席の間に設置されたディスプレーに「READY」の文字が浮かび上がる。ハンドルのボタンを押すと、すぐに自動走行に移行。運転手がハンドルから手を離す。自動運転中、ディスプレーには常時、カーナビの3次元モードの画面のように、データから再現された道路状況が映し出されている。車線変更ではAIが無言のままウインカーを操作し、ハンドルがひとりでに回り出す。運転車がハンドルやアクセルを操作すると、自動運転は解除される。人間の判断で危険回避などは即座にできる仕組みにもなっている。

 

自動車大手各社の自動運転者対応状況

ボストン・コンサルティング・グループによると、2035年には世界の新車販売の4台に1台にあたる約3000万台が自動運転車になるという。自動運転車の開発には、ゼネラル・モーターズGM)などのほか、グーグルやアップルなども参入している。以下に、自動運転車に向けた各社の取り組み内容をまとめてみたので参考にしてほしい。

 

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自動運転車の課題

未来の技術と思ってきた自動運転だが、実用化は意外に近い。そのことは分かった。だが一方で、”完全な”自動運転車の導入には大きな課題が存在する。法律の問題だ。完全自動運転では法改正が求められる。保険や責任の所在などの問題が大きな壁となって立ちはだかる。人の命に大きく関わることであるのだから当然だ。

 

感想

技術は実用化の段階まで来たか、という感じ。企業努力の賜物といえるだろう。戦後、日本の製造業を大きく牽引してきた自動車業界に、また大きな節目が訪れようとしている。「高齢者やハンディキャップのある人でも安全に運転できるように」というトヨタ理念にも共感できる。だからこそ、”完全な”「自動運転車」の実用化に向けて、法的な壁、その大きな壁をどうにか解決に導いてほしいと思う。私は交通情報工学の研究に携わった経験がある。数年前から自動運転については学会でも議論されていた。専門家の間でも、何かあった場合「例えばシステムの故障で事故に至ってしまった場合」にその責任の所在をどこに持っていくか、その線引きがとても難しいため、自動運転車の実用化は難しいだろうという意見が少なからず挙がっている。しかしながら、技術の進歩は人類の進歩だ。この画期的な技術が、安全面・法律面でも十分に検討された上で、世間に広く普及することを私は願う。