ノルウェイの森
今更ノルウェイの森を読んだ
今更、名作中の名作、鉄板中の鉄板を読んだ。
「ノルウェイの森」
病んでる人の物語と聞いていて、なんとなく敬遠していたのだが、ふと思い立ち、近所の本屋で文庫本の上巻を購入した。ずいぶんときみの悪い装丁である。
主人公はいとも簡単に女性と寝てしまう。およそ19、20歳とは思えない落ち着きと達観した思想の持ち主であり、ませていて、これといった努力もしていないのにモテる。
物語は意味不明に展開していく。学内紛争真っ只中の東京において、そのような喧騒の裏で密かに進んでいくストーリー。個人的にはその世界観がなんとなく気に入った。ノスタルジックで、非現実的な描写が続く。
やたらと寝る描写が多いので、ものすごく違和感を持ちながら読み進めていた。調べてみると、この小説におけるそういうシーンは、登場人物の感情が高まり共鳴していることのメタファーなのだそうだ。なるほど、そういう演出装置なわけか。それなら合点がいく。
むしろ表面的な恋愛表現を取り除けば、この小説はまったく違った物語となる。身近な人の死から取り残された人たちが、激しく葛藤しながらも生きていく姿勢を紡ぎだした悲しい物語だった。
なぜなのだろう。ものすごく引き込まれ、あっという間に読了してしまった。名作故なのか。ただそのとき暇だったからだけなのか。
どうでもよいことだが、今日も休日の日が暮れていく。そして新たな日常生活が始まっていく。