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kaidaten's blog~書評ノート~

日経新聞の要約や書評を中心にエントリーしてましたが、最近はざっくばらんにやってます。

池井戸潤の7つの会議が面白い

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豪華俳優陣による映画化「7つの会議」

七つの会議 (集英社文庫)

七つの会議 (集英社文庫)

 

半沢直樹下町ロケットで有名な池井戸潤の名作「7つの会議」をご存知だろうか。というか、2019年2月に公開される映画のトレイラーを見ただろうか。


「七つの会議」予告

 

これは面白くないわけがない。野村萬斎の演技力たぶん半端ない。見てないけど。

 

ということで、早速小説を購入して読み始めたら原作も普通におもしろかった。

 

池井戸潤はリアル銀行マンとしての経験があるから、組織の内情の描き方が緻密で共感できる。特段彼の作品に文学性があるとは思えないものの、自分の職場環境を思い出すくらいの細かい描写があるかと思えば、大胆に物語が動き正義が勝ってスカッとする展開もあったり、読んでいて飽きがこない。

 

「7つの会議」も池井戸潤の王道的な手法で構成されていて一気に読了することができた。

 

 

 

癖のある主人公「居眠り八角

この物語で特に魅力的なのが、主人公の"八角(はっかく)"というキャラクター。中堅メーカーのぐうたら万年係長である一方で、実は鋭い洞察力を持ち合わせた切れ者という側面を併せ持つ。ダラシなく見えて実はデキる奴っていう設定が日本人は好きだよね。私も好きだ。

 

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小説の題材は、大手総合電気メーカー子会社の強度不正問題。小説の題名通り、キーパソンが絡む様々な会議を経て物語が前に進み、不正の実態が徐々に明らかにされていく。最終的には社長が手を引いていたことが発覚するのだが、不正のリークに暗躍するのが主人公八角

 

「魂を売った商売」というキーワードが本作には随所に現れる。働くことの意義とは?

 

私は会社のために魂を売ることはないけども、会社に全てを捧げるかつての企業戦士・モーレツ社員なんかは、こういう不正にも手を染めてしまうんだろうなー。人は大きな流れに逆らえないもの。そういう意味で誰が上に立つかってやっぱり大事で、その影響力について考えさせられた。

 

にしても、ドーナツの社内販売のエピソードって必要だったのかな?それだけが気になる。