今さら聞けないお金のギモンをスッキリ!なくす本
書評&内容紹介
社会人として最低限のお金の知識は持っておくべき、ということで、マネーリテラシーに関する入門書を読んでいる。「控除」や「年金」など、知っているようでその内容をきちんと理解できていない制度って結構ある。本書は、そんな方々を対象にしたお金に関する入門書(おそらく主婦層向け?)。最近話題のNISAなどについても触れている。
特に勉強になったのは、「高額療養費負担制度」や「傷病手当金」。普段、健康で働いているうちは気にも留めないことだが、ある日事故や病気で急に勤め先に出勤できなくなった場合、どう対応するのか。このような制度を事前に知っておくのと知らないのとでは、その後のアクションが全然違ってくるはず。また、少なくとも「高額療養費負担制度」の内容は、医療保険への加入検討時には頭の中に入れておくべきものであると感じた。
以下、内容を抜粋して紹介する。
控除について
▪️控除とは
控除とは、ある金額から一定の金額を引くこと。所得税や住民税は、所得をもとに計算されるが、状況に応じて様々な金額が引かれている。
- 給与所得控除など:必要経費として差し引かれる金額(額面年収によって金額が決定)
- 所得控除:扶養控除や保険料控除など、その人の状況に応じて差し引かれる金額(申告が必要)
- 課税所得:この金額に対して税金がかかる。所得税(5〜45%)、住民税(10%
- 税額控除:住宅ローン控除などが、税額から直接引かれる(1年目は申告が必要)
※年末に会社から渡される「保険料控除申込書」に加入してる保険などを記入する
▪️控除の種類と条件
- 家族:扶養控除(38万)、配偶者控除(38万)、配偶者特別控除(最高38万)
- 保険:生命保険控除(最高12万)、地震保険料控除(最高5万)、小規模企業共済等金控除(確定拠出年金に加入している、掛け金金額)
- 住宅:住宅ローン控除(住宅ローンの契約(1年目は確定申告で手続きする)、年末の住宅ローン残高の1%が税額控除)
▪️手続きと調整の方法
年末調整前に会社に手続きをすれば、過不足の計算が会社を通じて行われ、12月の給与で還付や徴収がされる。
▪️確定申告について
- 1/1〜12/31までの所得を申告し、給与額を確定するもの。
- 翌年2/16〜3/15までに居住地の税務署に申告する。
- 還付申告(払ったお金を返してもらう)は翌年の1/1以降、いつでも可能。期間は5年以内。
▪️会社員で確定申告が必要な人
会社員は年末調整をしていれば確定申告は不要だが、以下のいずれかに当てはまる場合は、確定申告が必要。
- 年間給与収入が2000万円を超える
- 副業など、給与以外の所得の合計が20万円を超える
- 2ヶ所以上から給与をもらっている
その他、年末調整で清算できなかった医療費や家の購入、転職や退職、災害などがあれば確定申告する。
▪️確定申告で還付を受けられるケース
- 医療費控除:生計を一にする家族の年間医療費の合計から、保険金などで補填される金額を引いた額が10万円を超えた
- 雑損控除:台風・火災・地震などの災害や盗難で、住宅や家財に被害を受けた
- 寄付金控除:地方公共団体や学校法人などに、2,000円を超える寄付をした。
- 配当控除(税額控除):総合課税の運用を選択し、株式などの配当を受け取った。
- 住宅ローン控除(税額控除):住宅ローンを利用して住居を購入したり、リフォームや増改革、耐震工事などをした
公的年金制度の仕組み
▪️老後だけじゃない、様々な保証制度
「将来年金はもらえるのか?」と思う方も多いと思うが、国民年金の老齢基礎年金は半分が税金から出ており、原則として65歳から一生涯ずっと受け取ることが可能。また、老後を支えるだけでなく、死亡時や生涯を負った時の保証もしてくれる。受け取れるお金の種類や仕組みを確認しておこう。
▪️ねんきん定期便が来たら
毎年誕生日に届く「ねんきん定期便」には、これまでの年金加入記録などが載っている。届いたら加入歴や納付状況に誤りがないかを確認し、誤りがある場合は日本年金機構へ連絡する。(転職が多い人、名字が変わった人は特にしっかり確認する)
▪️厚生年金の加入拡大
一般的にパートの人は、厚生年金加入者にされない場合が多いが、2016年10月から「週の労働時間が20時間以上」など、一定の要件に該当すれば加入者になる。この変更に伴い、パートやアルバイトの人が厚生年金に加入しやすくなった。
貯金の仕方について
貯蓄額は収入の2割が目安
▪️先取り貯蓄の方法
- 自動積立定期預金(銀行)、自動積立貯金(ゆうちょ銀行)
給与口座から別口座に一定額を振替える(ボーナス月は増額可能)。
積立費は給料日の直後にするのがオススメ。
満期まで元本(預けたお金)は引き出せない。月1万円以上の預金が一般的。
- 社内預金(勤務先)
最低利率が0.5%で、普通の銀行に比べて利息が高い。
会社に預けられ、引き出しに手続きや条件が必要なこともあるので注意。
- 財形貯蓄(勤務先)
会社員が利用可能。
給与やボーナスから天引きされ、会社から金融機関に預けられる。
非課税や融資など、様々なメリットがある。
▪️財形貯蓄の仕組み
普通の貯蓄にはない、非課税や融資などのメリットがある「財形貯蓄」。勤務先に制度があれば、月1,000円から活用できる。
▪️クレジットカードの使い方
余分な手数料を払わずポイントを有効活用する
- カードは1〜2枚までに
- ポイントを上手に貯める
→固定費や公共料金の支払いに。
→イベント前は利子利用枠を拡大。
買い物&旅行のオトク技
▪️旅行費用は「旅行積立」で貯める
銀行の積立のように、旅行会社に旅行資金を積立てると、早くオトクに貯められる。ツアーだけでなく、航空券や宿泊代に使えるものもある。
️▪️商品券で金額がプラスに
支払額に10〜15%加算された「地域プレミアム商品券」。利用は販売地域限定になるが、即完売するほどの人気がある。
▪️日用品をAmazonで購入
「Amazon定期オトク便」を使うと、通常価格の5〜10%オフに。定期的に購入する日用品があれば活用すべき。
高額療養費負担制度について
同じ医療機関で1ヶ月の医療費が高額になった場合、自己負担限度額を超えた分が払い戻される制度。加入している健康保険に申請することで利用可能。
▪️1ヶ月に払う医療費の限度は?
年齢・年収に応じて自己負担額の上限は変わる。
また、高額療養費の払い戻しを受けた月が1年間で3回以上あった場合、4回目からは上限額が下がる。
例:標準報酬月額が30万円で、1ヶ月の医療費が100万円かかった場合
8万100円+(100万円ー26万7,000円)✖️ 1% = 8万7,430円(自己負担額)
傷病手当金について
病気やケガの療養で仕事ができない場合、会社員は健康保険から手当金が受け取れる。
自営業の人には支給されないので、貯蓄や保険などで補えるよう備えておく必要がある。
▪️休養中の収入をサポート
- 病気やケガで連続して3日以上仕事を休んだ場合、4日目以降から手当金が出る。金額は1日につき標準報酬日額の2/3、最長1年6ヶ月支給される。
- 但し、傷病手当金を上回る給与が支払われた場合、傷病手当金は支給されない。
NISA概要
▪️NISAとは
NISAとは、2014年から始まった少額投資非課税制度のこと。
通常、株や投資信託などで得た売買益や配当金、分配金には20%の税金がかかるが、NISA口座で運用すると最長5年間、非課税になる。
日本に住む20歳以上の人なら誰でも使え、投資の利益がそのまま受け取れるのが魅力。
▪️️NISAが使えるもの
NISAの非課税枠は100万円で、その枠内なら複数の商品を組み合わせて購入できる。
対象になるのは以下の4つ。
▪️️NISAでは未使用・売却枠は使えない
その年のNISA口座で80万円購入した場合、使わなかった20万円を翌年以降に繰り越すことはできない。また、NISA口座で買った商品を売却した場合、売却で空いた枠で別の商品を買うこともできない