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日経新聞の要約や書評を中心にエントリーしてましたが、最近はざっくばらんにやってます。

「40歳定年制」から考える日本の原発問題~日本経済新聞9月4日社説~

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日本は原発とどう向き合っていくべきか?

日経新聞社説シリーズ。今回は、9月4日の社説「原発の『40歳定年制』は維持を」を題材に、原発の今後の在り方について考える。ちなみに、以前のエントリーでは「電力自由化」について取り上げた。福島第一原発の事故を機に、エネルギー分野での動きが目立つ。

 

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社説概要

原発運転期間の原則

原子力発電所の運転期間を原則40年とし、原子力規制委員会の審査を通れば20年期間を延ばせるとした現行制度について、「見直さない」とする提言を自民党のプロジェクトチームがまとめた。

 

この制度は東京電力福島第1原発事故後の原子力規制改革の中で決まった。誕生してまだ2年ほどしかたっていない仕組みだ。提言が主張する通り、現時点で見直す必要はない。寿命延長の第1号として、関西電力の高浜1、2号機(福井県)の審査が今まさに進行中とのこと。

 

古い原発の安全性を高められるかどうか、効果を検証できるのはこれからという段階だ。

 

■今後について

自民党や産業界の一部には「40歳定年」制度の撤廃を求める声がある。「40年」という期間に関して科学的な根拠が薄いこと、60年まで稼動可能にている国が存在すること(米国など)が反論の趣旨だ。

 

政府は2030年時点で電源構成に占める原子力発電の割合を20~22%とする計画を立てているが、40年を寿命とする制度がその実現の妨げになるとの指摘もある。

 

原発の適切な運転期間を定める制度は科学的根拠と同時に社会的な合意が不可欠である。制度の見直しが必要な場合、国会や原子力規制委で時間をかけて議論すべきだ。

 

いまは再稼働を始めた原発の運転実績を積み重ねることが最優先。40年の間に原発を安全に運転するのに必要な補修や点検の技術を確立することが電力会社には求められる。

 

それと並行するかたちで現制度の改良も推し進めるべきだ(例えば、電力会社が寿命延長を申請できる期間は40年到達の1年3ヵ月前からに限っている。準備期間を延ばす余地はあるはず)。

 

感想

今日、「原発」という言葉を耳に人は、間違いなく福島第一原発放射能漏れ事故のことを思い浮かべるだろう。そして、それに付随する感情はおそらく否定的なものであるのだろう。また、ほとんど人はそもそも無関心であろう。

 

日経記事のよいところは、できるだけ中立的な視点で物事を論じていることだ(それぞれの記事を担当しているのはあくまで個人の記者であるわけで、記者間の個人差があることは大前提だが)。

 

社説でも述べられているように、原発関連の規制に関しては「科学的根拠と同時に社会的な合意」が必要である。

 

逆に言えば、「社会(民衆)の合意(感情)」だけで規制内容が決定されてはならない。科学的根拠は第一に、将来経済面に与えるインパクト、つまり国益についても十分に考慮する必要がある。我々の将来の生活に直結する部分であるのだから当たり前だ。より広い視野で検討していく必要があるのだ。

 

一方で、大手メディアの体制には大きな問題があることを認識しておいてもらいたい。


「福島問題」について、政府は既存の大手メディアに対して、確実に何らかの報道規制をかけている。「日経」も例外ではない。

 

原発事故による放射能漏れは、”超”国際的な問題である。報道規制をかけることは止むを得ない。国家の隠蔽体質は今に始まったことではない。

 

繰り返しになるが、「福島問題」については報道規制が確実にかかっている。上記の主張からは少し逸脱する内容だが、試しに以下の記事を一度読んでみてほしい。

 

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