東芝は実効ある統治改革で信頼回復を~日本経済新聞8月20日社説~
東芝は実効ある統治改革で信頼回復を
日経新聞社説シリーズ。今回のエントリーは8月20日の社説「東芝は実効ある統治改革で信頼回復を」を題材として考える。
不適切な会計処理の問題に揺れる東芝が新しい経営体制を発表した。他の企業の社長経験者などを社外取締役に迎え、企業統治(コーポレートガバナンス)を強化することが大きな柱となる。
一連の不祥事によって地の底におちた東芝の信用を取り戻すには、統治改革によって経営の透明度を高めることは最低条件と言えるだろう。また、それと並行して弱った本業を立て直すことも再生には欠かせない。
経営体制の革新
新しい経営体制では、取締役会の過半を社外の人材が占めるようになる。こうした措置によって、社外の目で経営を監督する形が強まることは確かだ。
しかしながら、問われるのはその「実効性」。社外取締役が自由に発言し、時には社長に苦言を呈することができるような環境が整えられるべきだ。
確かにより客観的な視点で東芝の再建を図ることができるが、社外取締役たちはどの程度再建に寄与できるのだろうか?伝統ある企業のガバナンスなだけに、なかなか難しい部分もあると思う。
東芝という巨大組織に潜むいくつもの課題のうち、どこに目をつけ、どのようなアプローチで再建を図っていくのか期待したい。
事業の再建の課題
東芝は2015年3月期の連結決済が最終赤字になることも明らかにしている。
利益の水増し分を修正したことにより、半導体や家電などの事業の収益性の低さが判明。これに伴って関連事業の資産の価値を厳しく見積もり、損失を計上するからだ。
冒頭で述べたように、このような決済状況の中で、本業を立て直すには、事業の再建が喫緊の課題である。かつて日立製作所が実行したような、「不採算事業の切り捨て」が必要になってくる。(”日立とシャープの明暗を分けた要素”については、下記エントリー参照)
東芝のこれから
不適切会計を巡っては東芝の歴代3社長が辞任したほか、執行役らの処分も進んだ。
しかし、真の動機は何だったのか、責任の所在はどこにあったのかなど判然としない点は多々残る。新たに判明した事実を開示し、再生への強い覚悟を示してほしい。