携帯ショップで保険に加入できる?ドコモと日生が提携〜日本経済新聞10月20日〜
様々な業界の提携を当ブログで紹介してきたが、今回は「携帯」と「保険」の組み合わせだ。ドコモと日生が提携し、顧客の長期囲い込みを狙うそうだ。なかなか興味深いビジネスモデルであるが、あくまでも”金融商品”である保険商品を、ドコモはどこまで責任を持って販売できるのだろうか。日本経済新聞10月20日「ドコモ、日生の保険販売」を題材にこのテーマについて考えてみよう。
日経記事要約
店頭で携帯と保険を一緒に契約
NTTドコモは日本生命保険と提携し、全国の携帯ショップで生命保険の販売を始める。携帯料金と保険料の支払いを一本化し、実質的な割引にも踏み込む方針。政府による値下げ圧力がかかる中、顧客を長くつなぎ留めることが通信会社の収益安定の要になっており、契約期間が長い生保との連携が広がる可能性がある。
他の生保にも提携打診
ドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社はこれまでインターネットを通じて主に存在保険の販売に取り組んでいるが、店頭で生命保険を販売するのは初めて。ドコモが保険代理店となり、ショップ内に販売カウンターを設置。専門スタッフが接客する。保険販売は保険業法の定めで専門の資格が必要となるため、日生が教師役の人材をドコモ側に派遣する。顧客には携帯料金と保険料を一緒に請求して支払えるようにする。
ドコモの携帯アプリと保険の連携も検討 一体で割引も
保険商品は金融庁による認可が必要で、原則として自由に値引きできない。そこでドコモは、自社が提供するアプリを通じて契約者の健康状況を把握し、健康状態に応じて「携帯+保険料」の合算値を値引くサービスなどを提供する方針。近年、通信サービスや端末機能でもドコモは他社と差が付きにくくなっている。今回の保険販売を新たな収益源に育てるために必死だ。
日生の戦略
一方、日生は集客力があるドコモと組んで顧客層を広げる戦略。特に若年層のニーズを掴み、商品開発に生かす狙いもある。近年は職場やマンションのセキュリティー強化で、営業職員による訪問販売がやりづらくなっている。「携帯ショップ」という新たな販売チャネルに期待を寄せる。
感想
携帯ショップに保険販売の専門家を派遣するということで、とりあえず一安心だ。ただ、近年の潮流として、金融庁では「保険購入者への説明義務の強化」に焦点を当てている。実際にそれに合わせて各社の保険販売を取り締まる「保険業法」も改定されようとしている。顧客のニーズをきちんと汲み取り、最適な提案をすることが求められており、もし契約時にきちんとした説明が行われなかった場合、顧客側から金銭的なペナルティーなしで契約解除することも可能になりつつある。携帯ショップに派遣される”専門家”がどれほどの知識を有した人々なのか、個人的には少し気になってしまう。ただ、インフラの整備と携帯料金の値引きを同時に迫られているドコモにとって、このタイミングで新たな取り組みに着手することはとても有意義であると思う。販売側も加入者側も満足がいく、そんな体制が整えられることを願う。