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kaidaten's blog~書評ノート~

日経新聞の要約や書評を中心にエントリーしてましたが、最近はざっくばらんにやってます。

新築戸建ってどう選んだらいいの?知識ゼロから家を買うために押さえておきたいポイント

家買う基準てなに?

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「夢のマイホーム」。そんな言葉は時代遅れだろうか。核家族化が進む中で、利便性のよい駅近区画にはタワーマンションが立ち並び、コンパクトに暮らすことに価値を見出している層も一定数いる。

 

いや、それでも一度きりの人生、戸建住宅を買いたい!建てたい!と思う人はまだまだ多いはず。実際、子育てをしていく中でマンションは必ず手狭になる。私の実家もそうだった。

 

ということで、これから家を購入する人のために注意しておくべきポイントを紹介しようと思う。

 

なお、知識獲得にはこちらの本が役に立った。

絶対にしくじらないハウスメーカー選び 大手11社徹底解剖!

絶対にしくじらないハウスメーカー選び 大手11社徹底解剖!

 

住宅インスペクション(検査)の専門家たちの対談形式の本で、大手ハウスメーカーの戸建性能を辛口で評価している。メーカーの営業トークに惑わされることなく、本質を見ることの重要性を教えてくれる。「使っている素材が高品質で、理論上は高い性能を発揮することを謳っていても、施工時にいい加減な仕事をされると全てが台無しになってしまう」という趣旨の主張が繰り返しされており、この部分はすごく参考になった。安かろう悪かろうは戸建住宅でももちろん例外ではなく、筆者曰く「軽自動車の値段でフェラーリを買うことはできない」だそうだ。人生で一番の買い物、いや一家の一大プロジェクトであるからこそ、十分吟味した上で住宅は選びたいものだ。

 

さぁ、そんな住宅選びで押さえておきたいポイントはなにか?

 

答えは以下の4項目だ。

・断熱性

・耐震性

・立地

・間取り

順に解説していこう。

 

断熱性

まずは断熱性。昨今、「断熱性能」という言葉もかなり浸透してきたのではないだろうか。従来の日本の木造家屋が一様に夏暑く冬寒いのは、一重に断熱性が先進国の中でも底辺並だからだ。

 

ヨーロッパは緯度が高く冬にはかなり冷え込むのだが、住人は屋内で半袖で過ごしている。これは家の断熱性能が高い何よりの証拠なのだが、要するに、外気の温度を家の中に影響させない仕組みがしっかりしている。石造りの家という点で日本の家屋とは異なるのだが、そもそも窓一つとってもペアガラス(二重構造)がデフォルトで、例えばドイツなどでは断熱基準の数値が日本よりも明らかに厳しいのだ。金はかかるが、3世代に渡って住み続けられる欧州の家のコスパはかなり高いと思う。断熱の重要性は日本においても例外ではなく、これに初期投資しておくだけで、冷暖房のランニングコストや快適性が断然変わってくる。

 

断熱性を高く保つためのポイントは、断熱材気密性なのだけれども、まずは断熱材のことから触れていこう。

断熱材

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建て売り住宅でも一応断熱材は入れているけども、性能はピンキリ。そもそもローコスト住宅は施工がいい加減なところが多く、断熱材の性能が活かされているのかかなり怪しい。また、断熱材と一口に言っても従来の素材を入れ込むものから、吹き付け断熱などいろんなやり方がある。ちなみに吹き付け断熱は性能はよいものの、劣化スピードが早いそうだ。さらに、大枠として、外断熱と内断熱という2種類の断熱対応があって、外と内のダブル断熱をしているところは意外と少ない。

allabout.co.jp

 

気密性

住宅評価の指標にC値というものがある。家全体に占める隙間面積の割合を示すもので、これで気密性を測ることができる。いくらよい断熱材を使っていても、隙間が多ければそこが外気との接点になり、全てが無に帰してしまう。気密性と断熱性は密接にリンクしているのだ。そもそもC値を公表しているメーカー自体が少ないのだが、営業担当にそれとなくヒアリングしてみてはどうだろうか。

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耐震性

阪神大震災以降に重要視されるようになったのが耐震性。姉歯事件でも一躍注目を浴びた。日本はとにかく地震が多い。海洋プレートに囲まれた地理的条件を見ると、よく日本人はこんなところに密集して住めるな、という感じ。直近でも、東日本大震災熊本地震、北海道地震などの大地震が立て続けに起こっており、今後も東海・南海トラフ地震がどこかで発生すると言われている。

kaidaten.hatenablog.com

 

一方、なんと現行の建築基準法上では2階建住宅は「構造計算」をしなくてもよい!というとんでもない事実をご存知だっただろうか。構造計算とは、簡単にいうと家のある部分に何らかの負荷がかかったときに、どういう風に力を分散させて逃がすかの計算なのだけど、2階建以下ではこれをしなくてもよいのだ。なんちゅーこっちゃ。もちろん、きちんと構造計算しているメーカー、ビルダーも多いのだが、法律上やらなくてもよいので、いくらでも手抜きできるのだ。地震云々の以前の問題ではないだろうか...。

耐震性を図る指標には「耐震等級」というものがあるのだが、これに加えて構造計算の実施有無についても確認しておきたい。

 

立地

いわずもがなだが、立地も大事。地域の風度とか小学校・中学校区はもちろん、その土地が持つ潜在的なリスクについても把握しておくべきだろう。この点については随分と便利な時代になったもので、国土交通省のHPから日本全国のハザードマップを簡単に閲覧することができる。

disaportal.gsi.go.jp

 

最近は異常気象による豪雨災害も多いので、浸水想定エリアや土砂災害警戒区域については要注意。また、地盤の弱い地域では地滑りや液状化が起きやすいので、その辺も調べておくとよい。

 

ちなみに、土地購入の基本は「切土」。切土とはその名のとおり、地面を切り取ることで、反対語が「盛土」。何もなかったところに土を重ねた盛土の土地よりも、もともと砂が堆積していた部分を平坦に切り取った切土の土地の方が安定性が増すのだ。旧地形図で調べることができるので調べてみるとよい。

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また、将来的に家を売ることを前提に考えている人は、建物のデザインと周囲の景観とのマッチングにも気を配るべき。中古物件は「土地建物」という観点で価値が決まる。古い日本家屋群の中に、数区画だけ洋風のデザインの家がポツンと建っているのをたまに見かけるが、ああいうのは確実にマイナス査定となるそうだ。

 

間取り

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最後に、目に見える間取り。

 

まず、家族がかなりの時間を過ごすリビングの快適性は追求したい。基本は南向きに大きな窓を設けて採光し、部屋全体を明るくする。この辺は個々人の価値観によるけど。

 

また、注文住宅で建てるなら、収納面を工夫したい。延べ床面積が小さくても、少しの工夫で収納を多く取り、部屋全体を広く見せることは可能だ。設計士の腕の見せ所である。無駄に広い家よりも、コンパクトで小回りのきく家の方が断然暮らしやすいだろう。マンション人気の理由もそこにある。

 

あと、「生涯その家に住む」という感覚を持っておいた方がよい。家の基本は4LDKで、だいたい1階にLDKと和室があって、2階に寝室含めた3部屋が配置される。都心近くになると広い土地が買えないので、1階部分が車庫の3階建の家もめずらしくない。家族の動線を考えたとき、階段の利用は非常に不便である。実質リビングで大部分の時間を過ごすにも関わらず、2階空間に無駄に部屋を設けるのはいかがなものだろうか。子育ても実際は1階部分で行うのだ。であれば、2階には物置となる部屋ではなく、あえてウォークインクローゼットを配置するなどして使い勝手を高めたほうが得策だ。リビング階段を設け、家族が自然とリビングに集まるような設計を取り入れるのもよいだろう。

 

さいごに

ということで、戸建購入の際に注意すべきポイントを駆け足で紹介してきた。本当は、長期優良住宅や低炭素住宅、ZEH(ゼッチ)、ローンの仕組みなどについても書きたかったのだが、長くなりすぎるので気が向いたら別のエントリーで書くことにする。とりあえず、不動産関連は知識があればあるほど得をするので、いろんな本を読んだり、専門家に話を聞くなどして理解を深めていきたいところだ。